2017年5月15日月曜日
簡単にPrivilegedなんて言うな
最近デートしてる人に「君は身だしなみがきちんとしてハイクラスなマナーを身につけていて、裕福で恵まれた家庭に育ったんだとわかる」って言われた。褒め言葉だってわかってるんだけど、このPrivilegedが心に引っかかりすぎて、言いたいことはわかるで、けどいやいや、おーい!ってどうもダメだったので、ちょっと聞いてもらっていいですか。
「Privileged」という言葉に、強い抵抗がある。日本語だと「特権がある・恵まれてる」という感じ。この言葉を使う時は、文脈や相手との関係性を十分考慮した上でにしてほしいんだ。
健康体で、衣食住と愛情としつけを与えてくれた両親がいて、高等教育まで受けさせてもらえた、それらに手が届かない人たちがごまんといるから君は恵まれている、という彼の意見には100%同意するし、両親・祖父母にはめちゃめちゃ感謝してる。
それでも、まだよく知らない相手にprivilegedと言われるのは、やっぱり違う。
マナーや品の30%は両親が教えてくれたけど、あとの70%は自分で外に出て身につけたものだ。私の地元はそんなに柄のよくない、大学進学率も低い地域だった。うちの親はミドルクラスの普通のおじさんおばさんで、彼が想像している「裕福で上品な両親」なんかじゃない。
15で出た海外ではめちゃくちゃ差別され、歩いてるだけで暴言浴びせられた。現地人の何倍も勉強して、クラスでトップになったら今度は嫌味を言われた。でも頼み込んでやらせてもらったことで、自分の選択だしそれでも楽しく過ごしていたから、親には言わなかった。うちの両親は今でも娘がそんな目にあっていたとは知らない。
大学時代ずっとしてたバイトと、社会人時代は理不尽の王国・広告業界でさらに、いい大人とひどい仕打ちをする大人をたくさん見た。そうやって色んな人の色んな扱いを受けて、他人の扱い方や自分がこうありたいと思える身振り素振りを見直しながら、身につけてきた。
カナダに来るのだって、リサーチと貯金と勉強を重ねて叶えたことだ。現地人の3倍の授業料払って、親に月1000ドルのコンドー払ってもらってるクラスメイトを尻目に、ルームメイトいっぱいのやっすい家で、毎月減ってく銀行残高に胃を締め付けられた。卒業できても就職できなければこの土地を去らなきゃという不安をずっと抱えていた。
そうしてやっと卒業を迎えた頃、学部長に面談で言われたのが「君はPrivilegedな印象を与えがちだから就活では気をつけろ」だった。授業に関わっておらず私のことを知らず、英語ネイティブ白人男性カナダ人として育った彼にそんなことを言われたのが、死ぬほど悔しかった。
だから歯くいしばって就活して、ネットワーキングしてボランティアして時には助けを求めて、フリーランスから契約になって正社員になり、今の仕事に転職した。Privilegedに見られない努力なんてしなかった。いつもきちんとした服装とマナーで人と接した。
だから土台を与えてくれる両親と環境に恵まれたというあなたの意見には100%同意するけれど、私が今ここにいてプライドを持って笑っているのは、I worked my ass offだからだって、路上でポロポロ泣きながら反論。
ほんとはあと100個ぐらい言いたいことあったけどその頃にはもう泣きすぎてたし、めっちゃ抱きしめられてました。ドラマか。
(ゲイハズバンドの)マイコーのように、私をよく知っている人の言葉であれば「そうだね」で済んだだろう。彼とは一緒に社会格差問題を研究して議論して、カフェに行くお金もなかった頃にお茶っ葉でお茶淹れて飲んだ仲だから。私が違法な大家に家を追い出されて家なき子になった時のことも知っているから。だから今、二人とも自分の情熱が持てる仕事ができるところまで来られて、恵まれてるね、還元しなきゃね、って言い合える。
その人の背景をよく知らないのなら、今いい服着ていい仕事に就いていいものを食べて笑ってるからって「裕福で恵まれてる」なんて簡単に片付けちゃいけないよ。
ちなみに彼とはその場でお互いの主張を共有し、和解しています。ただ自分の中で1日ずっとモヤモヤして考えていたので、やっとスッキリするところまで考え抜けて、心の平穏がカムバック。
そんなこんなで、母に心から「母の日おめでとう。いつもありがとう」と言えました。
おわり。
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