さて、カナダでの働き方を紹介するこのシリーズ。前回は時間×お金で見るとカナダの職場の方が圧倒的にいいよって話をしましたが、今回は職場環境について。上下関係はないんですか?実力主義って本当ですか?とちょくちょく聞かれるので、この辺についてまとめます。あくまで私の経験と周りの話をベースにしていますので悪しからず。
上下関係がない?
これは、あんまりないですね。管理体制という意味での上司・部下はありますが、日本のように1年先輩だから上とか、上司の言うことは理不尽でも聞く、というような体育会系の上下はありません。
私の職場は小さなNPO団体なので、CEOと直に仕事をします。彼女は私の母親ぐらいの年ですが、冗談も言い合うし、いい意味でお互い自分の意見を言えるのでとても働きやすいです。
CEOが言ったことでも違うと思えば「うーん、その意見も分かるけどこっちの方がいいと思う」と言いますし、相手にもそれを求められています。雇う側は私の経験を元にしたデザイン・広告視点での意見を求めているため、入ったばかりだから、若いからといって黙っている方がマイナスになるんですね。
実力主義か?
北米は実力主義だなんてよく聞きますが、正直、バリバリドライで結果しか見ずに人を切りまくり、なんて職場は見たことないです。ただ、実力主義と言えるかもなーという点はあります。
それは、前にも紹介した採用体制。
例えばカナダでは、年齢を履歴書に書いたり面接で聞いたりしてはいけません。顔写真も貼りません。「新卒(未経験)が一番不利」、「ネットワーク内にいる人材から採用する」というのも、経験や能力とチームへのフィット=実力が重視されるっていうことですね。
また、こちらの職場では雇用主と社員の力関係が比較的、対等です。日本も終身雇用が崩れつつありますが、カナダは既に転職が当たり前の社会。会社が優秀じゃない人を切ることもできる一方で、会社に見合わないほど優秀な人はそもそも入らないし、ラッキーで入ってくれてもその内もっと好条件の会社に行ってしまいます。
「実力主義」というと、会社側が力を持っているような響きがするけれど、お互い様ってことですね。多少の波はあってもお互いに見合った職場・人材で落ち着いて均衡が保たれるという感じです。
ケーススタディとして、カナダ人の友人二人の話を。
ケーススタディ1:転職ステップアップ型の友人A
彼は新卒でRBC(カナダ最大のメガバン)に入社後、8ヶ月後に保険会社のチューリッヒに転職。そこでなんとシニアポジションに就きました。(カナダのポジションの変遷は通常、ジュニア→インターメディエイト→シニアと設定している会社が多い)
職歴8ヶ月なのに!
そしてその後また転職。
こういう「よりよい条件を求めて転職を繰り返す」のはよくあるステップアップ方法で、北米では新卒で入社した会社に居続ける方が珍しいです。
1つ目の仕事を辞めると聞いて「1年も経ってないやん!」とコメントした時、彼は
「うん、早いよねwでも入った時から上司も『みんないずれ転職すると思うけど』って言ってたし、祝福してくれているよ」と言っていました。
ちなみに彼の転職成功のカギは、
・名のある会社で実績を作ったこと
・面接をたくさん受けて、自分の価値をアピールするスキルを身につけたこと
そんな彼、恵まれているように聞こえますが、受けた面接の数は50回以上。
ということは面接にたどり着くまでにはもっと、レジュメを送ったことになります。普通は8ヶ月そこらの経験でシニアポジションなんて、いくら北米でも就けません。彼曰く、「僕もプレゼンとか全然得意じゃなかったけど、とにかく受け続ける内に緊張しなくなったし、失敗から学ぶことで徐々に上手くなった」のだそう。
ケーススタディ2:社内プロモーション型の友人P
Aとは正反対で、Pは学生の頃にインターンとして入ったイギリス系の会社でそのまま採用され、北米人には珍しく、以来5〜6年働き続けています。会社と仕事に誇りを持っており転職オファーを受けても断っているとか。
北米では社内でも、自分の価値を上にアピールするのが昇格や給料アップのカギ。
彼は同じ会社にずっといるとは言え、社内プロモーションを繰り返し受け、弱冠27歳にして今や人を採用したりクビを切ったりする立場に。近く管理職になる予定です。他にも、会社のお金でヨーロッパ研修に行かせてもらったり、一年フェローシップで日本に留学するため休職、その後また同じ会社に戻ったり。自由にさせてもらえていいなーと思うけど、それも彼の価値を会社が認めているから。
日本のように一律で年次ごとに上がっていくのではなく、認められた人がプロモーションを受けたり、積極的に上を説得すれば色々自由にさせてもらえる、という意味では実力主義で、自分次第で可能性が広がるということですね。
以上、よく聞かれる質問に対して答えてみました。
日本と比べると私にとってはこっちの方が働きやすいですが、もちろんデメリットもあり、人によって合う・合わないがハッキリ分かれると思います。また、そんな社会において私たち外国人が働くというのも、ハードルが高いです。でもこれ、書き出すと長くなるし、職場環境紹介という軸からもズレるので次回に回します!では〜。
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