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2013年11月13日水曜日

伝統工芸がデザインと出会うとこんなにかわいくなる、という事例を紹介するよ。


美しい!美しすぎるよ、ニッポンのデザイン。

 海外に出てから日本のデザインってかっこいいなーって思うようになり
「日本ってこんなに古くから伝わるステキな技術や、外国人には真似できないデザインセンスがあるのに、なんでお土産は死ぬほどダサいんだろう」とか、
「伝統文化の敷居が高い感じなんとかできないのかな」とか、
「もっと街ゆく人の半分ぐらい着物でもよくない?」
とかいう疑問をずーっと持ってきたんだよね。

  で、そんなことばっかり考えている内にだんだん、日本社会全体がローカルコンシャスになってきて、伝統工芸職人とデザイナーがコラボしたモノづくりも増えて(というかここにきて注目されるようになってきて)、何このムーブメント、楽しい!ってなってるのがここ最近。

  そんな私が感動した、伝統工芸×デザインの事例をピックアップしていこうと思う。  今、デザイナーや職人たちによって生み出されているモノづくりは、「伝統工芸」という響きからイメージされる厳かで敷居高いものとはもう、全然違うんですよ!現代のライフスタイルにマッチしたデザインにハートを打ち抜かれてほしいからざくざく上げてく。


日本のセンス×技術で生み出されたデザインたち


■SOU・SOU 地下足袋

オンラインショップ:http://sousounetshop.jp/
 マリメッコのテキスタイルデザイナーだった脇坂克二さんのデザインの世界に惚れこんで、芋づる式に出会ったブランド。ほぼ全部中国産になっていた地下足袋を日本で制作すべく、メーカーを掘り起こし、職人さんたちを説得して、「日本製」「日本の技術」にこだわったモノづくりをしている人たちだ。デザインのかわいさはもちろん「伝統の続きをデザインする」という考え方にもとても共感できる。地下足袋以外の衣服やインテリアも手がけている。

ちなみに本も超オススメ。
脇阪克二のデザイン ―マリメッコ、SOU・SOU、妻へ宛てた一万枚のアイデア
伝統の続きをデザインする: SOU・SOUの仕事


■にじゆら(ナカニ) 手ぬぐい

website: http://www.nijiyura.jp/
 昔ながらの注染という技法で、デザイナーとコラボした手ぬぐいを展開するメーカーさん。色んなデザイナーさんとのコラボ作品を生み出していて、手ぬぐいでこんなことができるんだっていう世界を見せてくれる。私の出身の大阪・堺市ということもあって、いつか必ずコラボしたい。

ちなみにこのデザインはwassaさんというイラストレーター の方のもので、最近よくwassaさんの作品に出くわすんだよなあ。今通ってるデザイン学校の先生も一緒に仕事したって言ってたり。独特の世界観がアンニュイかわいい。


■アマブロ 豆皿



オンラインショップ: http://www.amabro.com/item_list.php?main_cate=1&category_id=19
 村上 周さんというアーティストが展開する物販ブランド。現代の生活に伝統的なアートを取り入れるというコンセプトのもとに、テーブルウェアやインテリアアイテムを制作・販売している。
 特にこの豆皿が、かわいくて、日本的で、めでたくて、大好き!富士山とか鯛とか、昔からあるモチーフだけどラインや白場の取り方、あとそこでそう入れるんだーっていうレイヤー的な金の入れ方が絶妙にKAWAII!!これから友人・知人へのちょっとしたプレゼントなんかはこれにしようと決めている。笑


■上出長右衛門窯 KUTANI SEAL

website: http://www.choemon.com/
 以前、「DESIGN EAST04に行ってきた。(KUTANI SEAL WORKSHOP)」の記事で紹介した、九谷焼窯元 上出長右衛門窯がプロデュースする、クタニシール。手軽に伝統文化に触れられて、デザインもかわいくて、自分だけの器が作られるすばらしいソリューション。他にも、和風だけどモダンで西洋的でもあるデザインの醤油さしや湯飲みの販売もしている。


■中川政七商店 aisomo cosomo

website: http://www.nakagawa-masashichi.jp/category/1443.html
 陶器から、漆から、織物から、とにかくたくさんステキな「日本のいいもの」を展開する中川政七商店さん。特に好きなのはこの、「aisomo cosomo」という漆のシリーズかなあ。おばんざい屋さんやカフェにも出てきそうな、気取らないデザインが好き。

あと、富士山世界遺産登録を記念して、(登録される前からだけど)富士山ものも展開していてかわいいのだ⇒ http://www.nakagawa-masashichi.jp/category/2293.html


と、本当はまだまだあるけれど、ひとまず今日はこんな感じ。



今必要なのは「日常になじめる」伝統。


 上に挙げたデザインに共通しているのは、今の<ふつう>の私たちのライフスタイルに合っていて、日常に寄りそうデザインであることだ、と思っている。これまで、というか今もだけれど、成人式とか結婚式とかお正月とか、そういうスペシャルオケージョンでしか着物を着たり、漆の器を使ったりしない時代だった。でも、そういう「特別なモノ」であり続ける限り、衰退は避けられないんじゃないのかなっていう気持ちがあって。

 今私たちが「伝統」だと思ってるものだって、それはその当時に必要だった「かたち」になってるはずで。例えば、昔の人がずーっと同じようなデザインの着物を着回してきたかっていうとそんなことないんだよね。西洋文化が流れ込んできた時は当時流行っていたラジオを着物の柄にしてみたり、流行や時事を取り入れて楽しんでたんだよ。それってめっちゃ粋やん。


伝統工芸はなくなるべくしてなくなっているのか?


 過去ふつうに使われていて、今使われなくなったものがあるとしたらそれは、
①不便で必要ない
②よさが知られていない (代替品が流行した後忘れられている)
③現代のカタチに合っていない
のどれかじゃないのかなと思っていて。

 ①みたいなものは、代替品が出てきて淘汰される、それが世の常。②に関しては、知っている人が知らせる、もしくは再発掘して周知していく、で事足りる。で、③に関しては、いい部分を残して現代のカタチに合うようにしてあげるデザインが必要。

 要は、「古いものをそのまま継承すること」に価値があるんじゃなく、古いもののよさ(生地の質感のよさとか、長く使える材料とか)と新しいスタイル(今の生活習慣に合ったかたちや見た目)をかけ合わせて残していくことが大事なんじゃないだろうか。もちろん、特別な行事に使うような物に関しては、高級だったり厳かだったりすることに美しさ・価値があっていいと思うし、そういうものは多少不便でもそのカタチで残っていくから無問題。

と思うのでありました。

っと、今日は「モノづくり」の話をだーっと書いたけど、最近は「モノ」にこだわらずその場での体験とか参加性に自分の方向性が向かっていたりもするので、それはまた今度。

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