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2020年8月16日日曜日

カナダでデザイナーをしている私が、アメリカの大学院で臨床カウンセリングを学ぶことになった話


アメリカはケンタッキーの大学、University of the CumberlandsのMaster of Clinical Mental Health Counseling(臨床精神カウンセリング修士)に受かり、秋から学ぶことになりました。日本でいうところの、臨床心理士のような資格を取るプログラムです。

実はこれ、3年以上やりたいなーとあたためていました。デザインと臨床カウンセリングってかけ離れていると思う人が多いでしょうし、この二つを両方やってきた人は少ないと思います。

なので、今回はなぜデザイナーの私が臨床カウンセリングの修士号を受けることにしたのかについて書きます。

これまでの経歴

私の記事を初めて読む人向けに、これまでの経歴を話します。

現在、カナダはトロントでサービスデザイン、デザインリサーチ、CXを専門にしています。デザイナーと言っても、目に見えるグラフィックデザインなどとは違ったデザインです。カナダには6年前に移住目的で来て、デザイン戦略スクールで留学から始めました。教育はこれまで、以下の4カ国で学びました。

・高校:ニュージーランド🇳🇿
・学士(社会学):日本🇯🇵
・準修士(Interdisciplinary Design Strategy):カナダ🇨🇦
・修士(Interdisciplinary Design Strategy):アイルランド🇮🇪

働きながらアイルランドの大学院でデザイン戦略修士号を取得した時の話も書いたので、興味のある方は読んでみてください。

広告からデザインへ

日本の大学で社会学を学んだ後は、18歳の頃からの夢だった広告業界に就職しました。やりたかったことができたのと、クリエイティブでクレイジーな人たちと一緒に仕事ができ、やってよかったと思える経験でした。

大学で一旦日本に帰ったものの、働いてお金を貯めたらまた海外に出よう思っていて。社会人2年目辺りから本格的にビザや学校のリサーチ、貯金と計画を始めました。

で、今後のキャリアの方向性をどうするか?と考えました。北米は日本とは違って経験重視採用なので、そのまま広告の道を進む方が現地での就活には有利。でも、果たして広告をずっとやりたいか?と考えた時に、もっと社会の役に立つ仕事がしたいと、デザインにシフトチェンジしました。広告は、おもに経済的な価値をつくるものである一方、環境や社会的な価値は自分の仕事ではカバーできていないと思ったからです。


Triple Bottom Line: 画像出展


臨床カウンセリング修士を受験した理由

ということでトロントでデザイン戦略を学び、NPO団体勤務を経て、サービスデザイン会社に就職しました。臨床カウンセリングのトレーニングを受けたいと思ったのは、この仕事がきっかけでした。

「人々のQOL向上のお手伝いをする」をキャリア目標にやってきて、幸いにも、サービスデザインでそれが実行できたと思います。過去には:

・医療従事者と患者間のコミュニケーションをわかりやすくするシステムづくり
・それを拡散・配布するためのウェブサイトデザインと社員向け研修デザイン
・メンタルヘルスをサポートするサービスのためのユーザーリサーチ
・障害者向け公共交通サービスのポリシーデザイン、同サービスへのICカード導入のためのユーザーリサーチ

といったことを、当事者たちと関わりながらやってきました。

そうして、患者さんや介護者、医療従事者、さまざまな障害を抱える人々、移民やレフュジーとやりとりする中で、「もっとこういった立場にある人や、人の苦しかった心理体験を聞き出す上での訓練や経験があればいいのに」と思うようになりました。

私たちはデザイナーやリサーチャーとはいえ、こういった人々とのやりとりをするためのトレーニングなんかは、ほぼなしで現場に挑んでるんですよね。現場の経験を通して蓄積されていくというか。

Empathy(共感)が大事だと言うけど、Empathyスキルは個々人に任されている。デザイナーやリサーチャーでも、人によって対人スキルや元の性格が全然違うのに。我々と話すことで、トラウマが蘇って辛い体験をさせてしまわないか?どうやって害を及ばすことなく、サポートできるか?

私の場合、メンタルヘルスのリサーチではユーザーと話す前にその分野を専門とする団体に話を聞きに行ったり、セラピストを現場に雇うなど、できることはやっていました。それでも「もっとトレーニングがあればな」という思いが3年以上、頭にありました。

そんな時、Covidが到来。

家に強制的にロックダウンされ一人の時間が増えた(というか24時間になった)ので、これまでの経験やこれからのキャリアについて考え、「もう3年以上考えているんだから、やってしまおう」と決意した訳です。

そこからは夜中までカナダ、アメリカ、ドイツなど国をまたいで色々な学校や資格情報をリサーチ→受験。わくわくしながらも、「いや秋学期の出願締め切りまであと3週間しかないやん!」とバタバタと必要なものをまとめ、エッセイを書いて推薦状をもらい、受験→一時通過→面接→合格したのでした。

この時に推薦状を書いてくれた前の大学院のスーパーバイザーや教授に感謝🙏

今後どこに向かうのか?

資格認定団体に認められた大学にしたので、プログラムを卒業し決められた研修時間の経験を積むと、アメリカでClinical Mental Health Counselorという資格が取れます。カナダでも同じ資格と、私の住むオンタリオ州でのPsychotherapist資格も取れます。

じゃあ将来は臨床カウンセラーになるのか?というと、今のところ、デザインの仕事を続けていくつもりでいます。プログラム受講の一番の目標は、デザインとリサーチスキルを上げることなので。

そして、カウンセラーとしての経験を積んだ後、ゆくゆくはカウンセリングも独立して両立していきたいなと考えています。

インパクトとスケールの話

デザインの仕事は、システム・サービスレベルで変化を作っていけるところが一番の魅力だと思っています。同時に、カウンセリングはタッチポイントレベルで、もっと直接的、個人的にコミュニティの人々の役に立てる仕事です。


ということで、
・デザインとリサーチの仕事を通してシステム・サービスレベルでの変革を
・カウンセリングの仕事を通して、個人の成長・変化の手伝いを

そして、双方から得た知識や経験を生かして、他のデザイナー、リサーチャーへの情報共有やコーチングもしていきたいと考えています。

プログラムはパートタイムで受けるので卒業までに数年かかる予定です。アメリカの大学院ですが、私は遠隔授業のプログラムに入りました(キャンパス用もある)。少なくともCovidが落ち着いて旅行や移動がオープンするまではカナダにいながら勉強し、仕事も様子を見ながらする予定。

noteやブログで共有できそうなことがあれば、書いていきますのでどうぞよろしくお願いします💪

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