去年9月から、アイルランドの大学院でデザイン戦略の修士課程に取り組みました。
雇用主をスポンサーにプロジェクトを起こし、Human-centred Design(人間中心デザイン)でよく使われるコ・デザインのプロセスに外国人や非ネイティブを取り込むにはどうすればいいか?という研究をしました。今年1月にはアイルランドで最終プレゼンをし、最高評価を取得!🙆
そんなプロジェクトの最終成果物としてデザインしたInclusive Co-design Toolkitを、弊社ウェブサイトでリリースしました!
記事は英語なので、こちらに日本語で少しまとめます。
Inclusive Co-design Toolkitとは
人間中心デザインとコ・デザインはここ数年にわたって、デザイン業界の主要なトレンドとなりました。
さまざまな企業・団体・行政に応用されている「コ・デザイン」メソッドは、実際にサービスやプロダクトを使う人や提供に関わる人々をプロセスに取り込むことによって、彼らにとってよりよいデザインにすることを目的としています。しかし、コ・デザインの場に呼ばれるのはほとんどの場合、その国で生まれ育った、もしくは現地の言語が流暢に話せるメインストリームのみ。
トロントのような多様な都市では、移民、留学生、一時的なワーカー(ワーホリなど)、レフュジー、難民などが共生しており、中にはまだ現地語が流暢でない人も多数います。彼らの声はどうなるのでしょうか?
トロントの人口を見てみると、カナダで生まれたカナダ人は約半数、残りの半分は外国生まれで、英語を第二言語として話すESL人口は45.2%、家庭で英語以外の言語を話す人々は26.6%もいます。
つまり、現地語を流暢に話せるネイティブや上級話者のみとコ・デザインするということは、デザイン成果物に人口の一部の声しか反映できないということ。弊社Bridgeableがサービスデザインのお手伝いをしているクライアントは、ヘルスケア、交通機関、金融機関など、どれも現地生まれの現地人だけでなく、移民や留学生も影響を受けるサービスを提供する企業ばかり。彼らの声を取り入れないということは、無意識的にマイノリティを「メインストリームとともにつくったデザインの第二の受け取り手」として扱ってしまっていることになります。(これは言語マイノリティだけでなく、人種、障害、健康状態、セクシャリティなどのマイノリティにも当てはまります。)
この状況を解決すべく、去年プロジェクトを発足し、30人のコラボレーターとともにつくったのが、Inclusive Co-design Toolkitです。
このツールキットの対象は、サービスデザイナー、UXデザイナー、UXリサーチャー、行政関係者といった、さまざまな人々とコ・デザインを日々行う人たち。
キット内では、リサーチで判明した非ネイティブとコ・デザインする上での4つのバリア(言語、感情、アイデア出し、リサーチャーの思い込み)と、それを解決するための以下4つのステージのガイドラインを紹介しています。
1. インクルーシブなマインドセットを持つ
2. コ・デザインの準備を始める
3. ファシリテーションの準備をする
4. アクティビティや素材をデザインする
Inclusive Co-design Toolkitはこちらからダウンロードできます。
詳細を紹介した英語記事はこちら。
日本もカナダやアメリカほどではないですが、どんどん外国にルーツの持つ多様な人口が増えています。現状、ツールキットは英語のみですが、ぜひ使ってみてフィードバックをください!