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2016年7月16日土曜日

北米で学ぶデザイン思考|トロントの地域活性化コンペで受賞した話


時間が経ってしまったけど、トロントのアーバンデザイン・地域活性化コンペで受賞しました!日本人としては初の受賞。Institute without Boundariesやデザイン思考・デザイン戦略のことも全然書けていなかったので、これを機にまとめて紹介します。


コンペNXT City Prize概要


NXT City Prizeは、トロントでこれからの街づくりを担うデザイナー、クリエイターから地域活性化の案を募集したコンペ。私たちはNeighbourhood Improvementというカテゴリーで受賞しました。プロジェクトは、IwBで取り組んだ中でも一番気に入っている「RavineLine Toronto」を、さらにブラッシュアップして提出しました。


RavineLine Toronto プロジェクト概要


・Toronto Foundationという地域活性化を促進する財団をクライアントとして発足。
・お題はトロント地方(GTA=Greater Toronto Area)に多数存在する渓流・渓谷の利用促進プロジェクトの考案。
・リサーチや市民へのインタビューを行った結果、「トロントの持つ自然資産=渓谷・渓流を通して人々をどう繋げられるか、人々の生活を向上し、集える場を作られるか?」を課題に設定し、3つのソリューションをデザインした。


デザイン思考・デザイン戦略おさらい


デザイン思考って何かってのをものすごく大雑把に言うと「デザイナーたちによって使われる思考プロセス&ツール」。デザインをやってますと言うと「ファッション?グラフィック?Webデザイン?」って言われるんですが、これってデザイン=問題解決とした時にプロセスの最終段階であるアウトプット方法のひとつにしか過ぎません。そのずっと前にリサーチやコンセプト展開などなどのプロセスがあって、最終的に建物になったりWebサイトになったりする訳です。

で、「どうやらこれらの思考ツールはビジネスや他の分野でも使えるぞ!」とデザイナー以外の人たちが注目して使い出したため広がったため「デザイン思考(Design Thinking)」と呼ばれるようになったと。例えば有名な「ブレインストーミング」もツールのひとつ。それらを実践的に使いながら(主にアーバンデザインの領域を通して)プロジェクトに取り組むのがIwBです。

プロジェクトのポイント


そんなデザイン思考の中でも個人的にためになったのは、Whole Systems Thinking(システム思考)。局所的な問題だけでなく、そこに絡まる複数の問題や背景全体を通し見て解決索をデザインするというもの。RavineLine Torontoプロジェクトの一番のポイントは、まさにこのシステム思考を用いてツールキットの開発をしたことにあります。

トロント地方には渓谷・渓流がたくさんあり、局所的な活性化案を開発しても他地域への応用がしづらいんですね。私たちはサンプルとして3つの異なる課題(=機会)を抱えるスポットを選定し、他の地域にも応用可能なツールキットをデザインする流れを取りました。また、点在する複数の渓谷・渓流を⑴一貫したデザインで開発、⑵それぞれを行き来しやすいように繋げることで一つのインフラにすることを、最終のゴールとしています。

リサーチ段階で行ったインタビューをまとめたビデオがこちら。
※クライアントおよびトロント市へのプレゼンの冒頭で使ったもの。ソリューションは登場しません。
RavineLine Toronto: Opportunities from RavineLine Toronto on Vimeo.

コンペでは1枚のPDFにまとめて提出、が条件→こちらから見られます。
RavineLine Toronto | NXT City Prize受賞
賞状授与の時点でかなり酔ってました、はい。


おわりに:コンペを終えての雑感


・IwBのデザインの強みは「複雑に絡み合う問題を解決する」こと。だけどコンペとしては超シンプルに1つのアイデアに絞り込んだ方がウケるな、というのが反省。特に今回は実際にプレゼンができる訳ではなくペラ一枚の提出だったため、わかりやすさで攻める方がよかった。
・日本人初受賞なので嬉しい。日本人として、こちらのデザイン業界にもっと食い込んでいきたい。
・今回のメンバーはスペイン人/インテリアデザイン出身、ブラジル人/建築出身、フィリピン系カナダ人/政治学出身と、私=日本人/社会学、広告、グラフィック出身という、文化も分野も多様なチームだった。その分ぶつかり合って協働作業は大変だけど、やっぱりそっちの方がおもしろいものが作れるし、Interdisciplinary Designの醍醐味ここにあり!という感じ。もっとこういう取り組みをしていきたい。
・こういうチームプレーやコラボレーションができる可能性がある点や、出自に関係なく人を受け入れ、出自に関係なくこの街の活性化に本気で取り組めるという点で、トロントはまだまだおもしろいなーと思わせてくれた。

あと受賞パーティーはあらゆる酒造元やレストランがスポンサーだったおかげで、たくさん食べ、飲み、踊り、酔っ払いました!私たちが踊り始めたら周りの人たちもみるみる踊りだして、ダンスパーティーが始まったのもよかった。賞状授与の前から酔っぱらったため酔ってる写真しか残っていないけど…

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